銀行が死亡の事実を知ると、その人の名義の預金口座は凍結されてしまいます。
それまで被相続人と同居して被相続人の預金を生活費に使っていた場合、光熱費の引き落としに使っていた場合、葬儀費用を出したい場合など、相続人の方が必要なお金を引き出せず困惑するケースも多々あります。
今回は、被相続人名義の銀行口座が凍結されてしまったときの対処方法をご説明します。
1.名義人が死亡すると銀行は口座を凍結させてしまう
一般に、銀行預金の名義人が死亡すると、銀行は口座を凍結させて一切の入出金や引き落としなどをできない状態にします。たとえ同居の相続人が通帳や印鑑、カードを持っていても一切の口座利用ができません。
死亡後に相続人や第三者が勝手に預貯金の払い戻しをすることでトラブルになるなどリスクが高くなるため、それらを回避するためです。
2.口座凍結を解除する方法
凍結された被相続人の銀行口座を解除するには、以下の3つの方法があります。
2-1.遺言書や遺産分割協議書により凍結解除する
遺言書がある場合、相続人全員で遺産分割協議を行い特定の相続人が預金を相続することに決定した場合、金融機関に遺言書または遺産分割協議書と必要書類を提出し、口座凍結の解除の手続きをします。そうすると口座凍結を解除してもらえて、名義変更も可能です。
なお、遺言書が自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合には、金融機関に提出する前に検認手続きを受けておく必要があります。
2-2.裁判所の「仮処分」を利用する
遺産分割協議前であっても裁判所に「仮処分」を申し立てれば、裁判所の命令によって法定相続分に応じた預貯金の払い戻しを受けられます。
2-3.相続人であることを示して一部の出金に応じてもらう
2019年7月1日からは、改正された相続法によって各相続人が被相続人名義の預貯金の一部を出金できます。出金が認められる金額は、基本的に法定相続分の3分の1か150万円までです。
3.口座凍結されてお困りなら、司法書士までご相談下さい
被相続人名義の口座が凍結されたとき、多くのケースでは遺産分割協議によって特定の相続人が預金を承継することを決め、相続人が金融機関で手続きを行って凍結を解除しています。
スムーズに凍結解除するには「遺産分割協議書」を正しく作成する必要がありますし、金融機関から「相続関係説明図」の提示を求められるケースもあります。
口座凍結解除について複雑な手続きにお困りでしたら、お気軽に司法書士までご相談下さい。