Archive for the ‘コラム’ Category

相続放棄ができなくなる場合とは?

2020-07-10

以前のコラムで「相続放棄」「相続放棄ができる期間」についてご説明しました。

 相続放棄は、「相続放棄ができる期間」で書いたとおり、原則として相続が発生したことを知ったときから3か月以内に行う必要があり、3か月を超えると単純承認(プラスの財産もマイナスの財産も全て相続)したものとみなされます。

 この期間内であっても、相続放棄ができなくなる場合があります。

 相続人が相続財産を処分した場合も、単純承認したものとみなされます。

 相続財産の処分とは、具体的には下記のとおりです。

  • 現金を使った場合
  • 預貯金の口座を解約した場合
  • 不動産や貴金属などを売却した場合
  • 不動産などを損壊した場合
  • 亡くなった方のお金で借金を返済した場合
  • 亡くなった方の貸付金の返済を受けた場合
  • 賃料の振込先口座を相続人名義に変更した場合

 これらは全て、財産の処分にあたり、相続放棄ができなくなります。

 家族が亡くなった場合には、葬儀の手続などやならければならないことがたくさんあるため、ついうっかりやってしまうかもしれませんので、十分注意が必要です。

 

 相続放棄を検討されている方は、あらかじめ専門家にご相談されて、相続放棄ができなくなる事態にならないようにしてください。

 ほつま相続相談所では相談無料で行っています。お気軽にお問い合わせください。

 

来週(2020年7月10日)から法務局による『遺言書保管制度』が始まります!

2020-07-03

自筆証書遺言は、公正証書と違い、遺言者本人または遺言者が依頼した第三者が保管する必要があります。
遺言者本人または遺言者が依頼した第三者が保管するとなると、紛失や偽造・変造・破棄・隠匿の可能性があります。
これまで当事務所でも、遺言作成についてご相談いただいたときは自筆証書遺言の作成はおすすめしておりませんでした。

来週(2020年7月10日)から法務局による『遺言書保管制度』が始まります!
法務局で保管してもらえるため、紛失や偽造・変造・破棄・隠匿の心配はなくなります。
これまでよりも自筆証書遺言が利用しやすくなります。

法務局では、自筆証書遺言の形式が調っているかについてチェックされますが、遺言の内容が遺言者の意向に沿ったものであるかについてはチェックされません。せっかく遺した遺言の内容が不十分だと、後に紛争の基になることもありえます。
また、法務局で保管してもらうためには作成した遺言書のほかに申請書や戸籍住民票などの必要書類をそろえる必要があります。
これらについて、ご自身でされるのに不安がある場合や難しい場合に、司法書士がサポートさせていただきます。

最近、遺言のご相談が増えています。
この機会に是非遺言の作成について考えてみられてください。

相続人がいない場合、相続財産はどうなるか

2020-05-26

亡くなった方に相続人が1人もいない場合又は相続人全員が相続放棄の申述を行った場合、遺産はどうなるかについてご説明します。

相続人がいないからといって遺産を放置するわけにはいきません。
誰かが管理し、定められた者に財産を帰属させる必要があります。

手続としては、まず亡くなられた方の財産上の帰属主体となる相続財産法人がつくられ、その財産の管理人を家庭裁判所が選定します。
この財産管理人が相続人を探したり、財産の管理や、債権債務の清算を行います。
流れとしては、
① 相続債権者や受遺者に対する清算手続
② 特別縁故者に対する財産分与
③ 共有者への帰属
④ 残余財産の国庫への帰属
となります。

このように相続人がいない場合に財産を帰属させる手続きは煩雑で手間がかかり、また、「特定の人に財産を確実に渡したい」場合には、ご自身が亡くなった後の財産について予め遺言書を作成されることをお勧めします。

離縁について

2020-05-01

知人から相続手続きについての相談を受けた際に質問がありましたので、今日は離縁についてご説明しようと思います。

離縁とは、「養子縁組による親子関係を解消すること」です。

例えば、婚姻した相手に連れ子がおり、その連れ子と養子縁組をした場合、離婚により婚姻を解消したとしても、離縁をしなければ親子関係は残ったままとなり、扶養義務が残ったり、万が一養親又は養子が死亡した場合には相続関係が生じます。

離縁には次の方法があります。
① 協議離縁・・・養親と養子が協議を行い、合意によって離縁する方法
② 調停離縁・・・協議が調わない、できない場合に調停によって離縁する方法
③ 裁判離縁・・・調停が調わない場合に、裁判によって離縁する方法(ただし、縁組を継続しがたい重大な事由があるなど法律上の離縁理由が必要となります)
④ 死後離縁・・・養親又は養子のどちらか一方が死亡後に、裁判所の許可を得て離縁する方法

離縁はすでに発生した相続については影響を及ぼさないので、死亡により相続が発生した後に離縁したとしても相続人でなかったということにはなりませんので、離縁を行うタイミングは重要となります。

離縁についてもっと詳しくお知りになりたい方、相談したいという方は、ほつま合同事務所までお気軽にお問い合わせください。

不倫相手への遺贈は可能か

2020-03-16

近年なにかと話題の不倫ですが、遺言により不倫相手に財産を遺すことは可能でしょうか。
答えは…『無効となる可能性がある』です。

遺言は形式を調えることが必要となりますが、形式さえ調えておけば何でもできるというものではありません。
違法または公序良俗に反するかどうかが問題となります。
不倫相手への遺贈は、「この公序良俗に反する」という部分に当てはまり無効となる可能性があります。
遺贈が、不倫関係の継続のためになされたものであれば無効となる可能性が高いですが、これまでの感謝や今後の生活のためになされたものは必ずしも無効とはなりません。
また、不倫相手への遺贈により配偶者や子の生活が脅かされるか否かもポイントとなるため、相続人が居住している不動産や事業用の資産などを遺贈の目的とした場合は無効となる可能性が高いです。
その他、不倫相手との関係が長期であるか一時的なものであるか、配偶者との婚姻生活がもともと破綻していたか不倫により破綻したのか、などの事情も考慮され有効・無効が判断されます。

不倫相手への遺贈は必ずしも無効になるとはいえませんが、相続人と紛争のもとになる可能性が非常に高いです。
遺言をされるときは、遺された方が紛争に巻き込まれないように作成する必要がありますので、迷われた場合は専門家に相談されることをお勧めいたします。

胎児の相続権

2020-02-13

相続人は、被相続人が死亡したときに存在している必要がありますので、相続開始以前に死亡した場合や、相続開始後に生まれた場合は、相続はできません。(ただし、相続開始以前に相続人が死亡した場合には代襲相続が発生します。)

では、相続開始時に胎児であった場合はどうなるのでしょうか。
胎児は、原則として権利能力がなく、出生により初めて権利能力を有しますが、相続においては、例外的に胎児も生まれたものとみなされるので、胎児も相続人となります。
ただし、胎児が死産であった場合には、上記の規定は適用されません。

つまり、胎児であっても遺産分割協議をすることができ(実際には胎児の母、若しくは胎児と母が利益相反する場合には家庭裁判所で選任された特別代理人が協議に参加します)、不動産の相続も「亡何某妻何某胎児」として胎児名義の登記をすることも可能です。
死産であった場合は遺産分割協議のやり直しや行った相続登記について更正登記をする必要があり、手続が煩雑になりますので、急がなければならない事情がなければ無事に生まれてから相続手続きを進められた方がいいでしょう。

相続人の中に胎児や未成年者がいる場合は、特別代理人の選任が必要であることもありますので、そのような場合には専門家に相談されてみてください。

当事務所では出張相談に対応しておりますのでお気軽にご相談ください。

遺贈とは・・・

2020-02-10

遺贈とは、『遺言によって、財産の全部または一部を第三者に無償で譲る』ことです。
相続は死亡により当然発生し、相続を受けるのは法定相続人に限定されます。
これに対し、遺贈は遺言によりすることができ、法定相続人はもちろん法定相続人以外の第三者も遺贈を受けることができます。
よって、内縁の配偶者・長年面倒を見てくれたお嫁さんやいとこ、甥姪などの親類に相続人以外に財産を残したい場合には有効な手段となります。

遺贈には『包括遺贈』と『特定遺贈』の2種類あります。

包括遺贈とは・・・
遺産の全部又は一部を割合で指定して遺贈するものです。
受遺者(遺贈を受けた人)は相続人と同様の権利義務をもつことになりますので、プラスの財産だけでなくマイナスの財産をも受けることになります。また遺産分割協議にも加わる必要があります。
マイナスの財産が多い又は協議に参加したくないなどの理由により遺贈を受けない場合には、相続と同じように遺贈の効力発生を知ったときから3か月以内に家庭裁判所に放棄の申述をする必要があります。

特定遺贈とは・・・
○○の土地、○○銀行○○支店の預金など、財産を特定して遺贈するものです。
包括遺贈と違い、マイナスの財産を引き継いだり、遺産分割協議に参加することはありませんし、遺贈を受けないときに家庭裁判所に放棄の申述をする必要はありません。
ただし、特定遺贈は価値変動に弱く、遺言作成から遺贈の効力発生までの間に特定遺贈の対象を処分したり、価値が下がった場合には、遺言を書き換えるなどしなければ当初の意向と差が生じることがあります。

相続人以外に財産を残したい場合には遺言が必要ですので、作成に迷われたら、一度お近くの司法書士や専門家に相談してみてください。

当事務所では出張相談に対応しておりますのでお気軽にご相談ください。

遺産分割協議のやり直しはできるか?

2020-01-17

先日、お客様より「遺産分割協議を終えて、協議書を作成し、協議書に実印も押したが、やっぱりやり直したい。」とご相談を受けました。

一度成立した遺産分割協議を新たにやり直すことができるか、答えは「できる」です。

遺産分割協議のやり直しには2つあります。
① 一部の相続人を除外して行われた場合や協議について錯誤があった場合など、遺産分割協議が無効であった
② 相続人全員の合意により新たな協議を行う

つまり、協議が無効であった場合はもちろんですが、相続人全員の合意があれば、有効な協議を行っていてもやり直しは可能です。

ただし、相続人全員の合意により遺産分割協議をやり直した場合、税務上は他の相続人へ財産の譲渡や贈与があったものとして、所得税や贈与税が課される可能性があるので注意が必要です。
またすでに協議に基づいて不動産の相続登記を行っていた場合には、登記をやり直す必要があり、再度登録免許税を負担することになります。

以上のとおり、やり直すことはできますが、やり直すことにより手間や費用がかかることもありますので、遺産分割協議を行う際は、財産や相続人の調査をしっかりと行った上で協議されることをお勧めします。

一度書いた遺言を撤回したい場合には・・・

2019-12-19

遺言者は、いつでも遺言を撤回できます。
どのようにして撤回するのかは、自筆証書遺言か公正証書遺言かによって変わります。

自筆証書遺言の場合は、作成した遺言書そのものを破棄すればOKです。

公正証書遺言の場合は、原本が公証役場で保管されているので、手元にある遺言を破棄しても撤回したことになりません。
撤回の方法は複数あります。
① 遺言を撤回するという遺言書を作成する
② 新しく内容の異なる遺言書を作成する
③ 遺言に書かれている財産を処分・破棄する
以上のような方法で撤回できます。
ただし、争いを避けるためには、撤回の意思が明確になるように③の方法によらずに、遺言により撤回し、新たな遺言を作成される方がよいです。

遺言により撤回された遺言について、撤回したことを撤回することは、原則としてできません。

遺言は、生前は何度でも書き直すことができます。
争いにならないように、明確にご自身の意思が遺せるように注意が必要です。

遺言を残したいけど、どのようにして書いていいのかわからない場合や、以前書いた遺言と異なる内容の遺言を残したい場合には、是非近くの専門家にご相談ください。

自筆証書遺言書を発見したら検認を受けましょう

2019-11-13

自宅などで亡くなった方の遺言書を発見した場合、それが公正証書遺言でない場合、勝手に開封してはいけません。
遅滞なく家庭裁判所の検認を受けてください。
検認とは、家庭裁判所が遺言書を開封し、その形状・加除訂正・日付・署名などを確認し、検認調書を作成することにより、遺言書の偽造・変造を防止する手続きです。
遺言書の存在と形式を確認するものなので、遺言書の有効・無効や真偽については判断されません。
検認を受けずに開封したからといってその遺言が無効になるというものではありませんが、検認を受けていない遺言書では不動産の相続登記をする際法務局では受け付けられず、預貯金の相続手続きをする際に金融機関によっては受け付けられない場合があります。また、過料(行政罰)が科される可能性があります。
検認手続きは1~2か月かかるので、遺言書を発見したら早く裁判所に申立てをしましょう。

※2020年7月から法務局で遺言書を保管する制度が施行されます。
 法務局で保管されていた遺言書については検認手続き不要となります。
 施行までしばらくあるので、法務局での遺言書の保管制度についてはまた改めて書きたいと思います。

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