相続が発生し遺産分割の当事者に未成年者がいる場合、原則は法定代理人である親権者が未成年の子に代わり協議に参加します。
ただし、父が亡くなり、母と子が相続人であるなどの場合には、母は、自らの相続人としての立場と、相続人である子の親権者としての立場と、両方の立場で協議することになり、母と子の利益が相反する(例えば、「母が自分に有利な分割を行う」等)ことになるため、母は子に代わって遺産分割協議を行うことができません。
では、この場合、どうすればよいのか・・・。
2つの方法があります。
・ 子が成人になるまで待つ
・ 裁判所に「特別代理人」を選任する
特別代理人とは、子に代わって子の利益のために、その法律行為を行う人であり、「家庭裁判所」に申立てて選任してもらいます。
問題がなければ、申立てから2~3週間程度で選任されます。
特別代理人は選任後代理人としての権限が続くものでなく、申立てをした特定の法律行為(今回でいうと、「遺産分割協議」)についてのみ子を代理します。
利害関係がなければ親族もなることができ、通常申立ての際の候補者がそのまま選任されることがほとんどです。親族等の適当な候補者がいない場合には、司法書士などの専門家がなることも可能です。
注意すべきポイントは、たとえ子が全て相続するなど、子にとって有利となる遺産分割協議を行う場合であっても、必ず選任が必要となります。
その他、相続放棄や、子が不動産の所有者となっている場合に親権者を債務者とする抵当権設定などの場面でも特別代理人選任が必要となります。
特別代理人の選任が必要な場合は、一度司法書士にご相談してみてください。